ミュージカル『VIOLET』

全然うまくまとまらないけど備忘録的に投げとく。
コロナ禍で中止→4か月を経て5公演だけ奇跡の上演『VIOLET』
朗々と歌い上げない系ミュージカル、タイトルロールが小柄かわいい屋さんじゃない(ほうを観た)ミュージカル、楽しかったけど、令和になって「彼氏ができて救いを得てめでたしめでたし」みたいなオチはモヤモヤするー!!
いっぽうで、フリックという黒人兵士の扱われ方に、フムーと思うところもあり。
ベトナム戦争って、そこまで遠い昔でもないよね。
優河さんのヴァイオレット、初舞台なんて嘘でしょ!?ってくらい良かったし、成河さんの女性とのラブシーンとか貴重なものを観たね…(大抵は男性とキスしたりいちゃいちゃしている)。
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成河さんが代役で出ると公表された時点では、宣伝ビジュアルや惹句にピンとこなかったので「へー、ミュージカルかあ…開幕してからの評判で決めよう」くらいのテンションだった『VIOLET』
コロナ禍での中止から5公演だけ上演決定してもスルー気味だったんだけど、各種先行がチケット難と聞いて慌てて1公演だけ確保。

田舎娘のヴァイオレットが、顔の傷を治してくれる伝道師に会うためにバスで旅する話。
会った人はみな、ヴァイオレットの顔の傷に言葉を失い、変に同情したような態度になるのがヴァイオレットは気にくわない。
乗り合わせた白人兵士モンティとその先輩の黒人兵士フリック(その肌色ゆえにひどい扱いを受けている)と行動を共にするうちに、生い立ちや傷の原因、こじれた家族関係が明らかになっていき、モンティたちとの関係も変わっていく…。

ヴァイオレットが伝道師に会いに行って切々と訴えかけるシーンや、ポートスミスでバスから降りてモンティに、そしてフリックに再会するところ、ヴァイオレットのやるせなさに涙して、救われたところにもまた涙した。
…んだけど、あれでフリックとくっついて終わり?と思うと、モヤモヤする。

でも観終わって、1週間くらいでこの大半を書いて、さらに2週間たっても、ヴァイオレットが歌っていた「My way」は口ずさんでしまうし、ちょっと思い出しては「観られてよかったな」と思う。
そんな感じのミュージカル。
朗々と歌い上げる系ではなくて、大劇場でのミュージカルの楽しさも最近知ったけど、こういうの好きだなーと。


でもなー…。
ヴァイオレットが抱えていた傷は、確かに男で埋めるのが手っ取り早くて楽な穴なんだけど、男で埋めちゃダメな穴でもあるんだよ…。
なので、ヴァイオレットにはしばらくフリックと暮らしたら
「なーんだ、わたし全然いけてるじゃん。都会で仕事見つけたから出ていくわ。フリックばいばーい」
と山を下りて(フリックの故郷は山ではなかったと思うけど)、一人で歩いて行ってほしい。
その10年後20年後に、フリックを捨てたことを後悔したとしても(笑)。

ベトナム戦争直前ってことは1960年代だから、まあそういう時代か。
(ヴァイオレットの悩みは普遍的なものではあるけれど、「テレビに出ている伝道師様」的なものはせいぜいが1980年代まで?)
ヴァイオレット=傷を抱えた女の子の物語!と思うと、感動的ではあるけど、実はあんまり女子エンパワメントな作品ではない。
むしろフリックの扱いを通して、社会の分断を感じることが多かった。
バスで老女が隣に座ることを避けたり、バー?のカウンターではあからさまに侮辱されたり、ヴァイオレットも「あたしが黒人になってどうすんのよ」と言ってしまうし、モーテルで「なんであんな子(ヴァイオレット)を連れてきたの」と責められる。分断。

■スタイル?のこと
ヴァイオレットの傷がメイクで描かれることはないし、フリックやモーテルの女性たちも黒塗りメイクなんかしなくて、それはそれでもちろん大切なことだけど、セリフだけで各人の肌の色を把握して物語を理解するのは、簡単ではないね。
(聞き取りやすい歌詞ばかりでもなかったし)
・もちろん役者さんそれぞれ素晴らしかった。
・ブロードウェイなら、きっとこの役はこの肌の色のこういう体形の人が演じたらハマるんだろうなあ、という想像(安易なステロタイプ)
・フリックとモンティ、体格や声質が逆でもハマったんだろうか?
とか、諸々の不自由さをうまく整理できないでいる。

■セットのこと
舞台中央には大きなドーナツ状の円盤…厚さは30cmくらい。その円盤は上下して、照明のようになったり、ベッドになったり?する。
ステージ三方を3段ほどの階段(ただしステージ幅分めいっぱいある)が囲んでいるのは、もともとは対面型客席だったというから、そこにも観客が座る予定だったのかな?今回はさらにいくつもの椅子が並べられている。

■役者さんのこと
・優河さん(ヴァイオレット)
めちゃくちゃ良かった。
田舎娘だけどポーカーができて処女じゃなくて、ちょっとやさぐれてるヴァイオレットそのまんまだった、と言ったら失礼になるんだろうか?
ポーカーのカードを切る時は手慣れてけだるげな雰囲気、かと思えばすごく純真な女の子に見えるシーンもあったりして。
(ああ、ポーカーやってるのは、「与えられた手札でどう勝負していくか」って比喩なのかな。なるほど。)

本職はシンガーソングライターとのことで、ミュージカルの役者さんではあまり聞くことのない低めの歌声が心地よかった。
(透明感のあるきれいな高音を出せる、コゼット役の似合う小柄でアイドルみたいな役者さんばかりじゃなくてもいいと思うんだよ…センターはそれでいいのかもしれないけど、サイドにもっと低音歌うまの人がいたらいいのに、って海外版のJCSを観て思った)

・島田歌穂さん(老女他)
あの老女役の人、なんだか目が行っちゃうな?と思ったら島田歌穂さんだったーーー!!!(ドラマ『HOTEL』ファン)

・成河さん(モンティ)
成河さんを追いかけていると、自分ではなかなか身に行かないようなものを触れられるのが楽しい。
ねじまき鳥地方公演が中止になったからVIOLETへの代役出演が決まって、でもそれも中止…からの4公演だけ上演、という不思議さ。
モンティ、ちょっと『タージマハルの衛兵』のフマーユーンを思い出した。
ちょっと俗っぽくて、ステロタイプな感じの若者。
(女性とのラブシーンって珍しいですね…!!?)
(フリックとの体格差がかわいい…)


  • タイトル:ミュージカル『VIOLET』
  • 会場:東京芸術劇場プレイハウス
  • 会期:2020/9/4-2020/9/6
  • web:https://www.umegei.com/violet/
  • 出演者:優河、成河、吉原光夫、spi、島田歌穂
  • 鑑賞日:2020/9/4
  • 書いた日:2020/9/23

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