7/1『Defiled』DDD青山クロスシアター

「こうしたことを繋いでいくのが、僕たちの責任なんです」
ブライアンの奥さんと電話で話すところだけ、口調が違うの。

偽義経東京千秋楽以来、99日ぶりの劇場。
99日の間に、沢山のステージが延期や中止になって、その間に過去の舞台作品の映像配信やライブ配信があり、これから幕が開くお芝居でも配信をやるケースが増えている。
このお芝居もステージには3台のVRカメラが設置されていて、数日遅れての配信が予定されている。

その状況で、爆発物を仕掛けた図書館に立てこもったハリー(成河)が

「何がテクノロジーだ」

で暗転して終劇なの、反社会的なものに加担した気持ちになったというか、成河さんそんなこと言わずに生きててね!?みたいな気持ちになった。
やー…このご時世でこの脚本でこのオチにします!!?(楽しい)

ハリー・メンデルソン、図書館員。自分の勤める図書館の目録カードが破棄され、コンピュータの検索システムに変わることに反対し、建物を爆破すると立てこもる。目まぐるしく変化する時代の波に乗れない男たちが、かたくなに守り続けていたもの。神聖なもの。 それさえも取り上げられてしまったら…。

交渉にやってきたベテラン刑事、ブライアン・ディッキー。緊迫した空気の中、巧みな会話で心を開かせようとする交渉人。拒絶する男。次第に明らかになる男の深層心理。危険な状況下、二人の間に芽生える奇妙な関係。
果たして、刑事は説得に成功するのかー。

「VRシアター」ということが強調されていて、サイトのデザインも厨二デジタルな雰囲気だったせいか、なんとなくサイバーな印象をもって観に行ったけど、むしろ80年代アメリカと言われても違和感はなかった。
いや、目録カードの話なんだから80-90年代か。そりゃそうか。
(たぶんこのチケットを買う人ってまず役者ファンだと思うので、売り方が謎だ)

ものすごくベタな話だったと思う(べつに物語はベタでいい)。
とにかく目録カードの廃棄を阻止したいハリー、ちょっと喰えない斜に構えた…韜晦している風の警官・ブライアン(めちゃくちゃ千葉さんだよ!)。
ステージ下手の椅子にハリー。傍らのデスク上にはデスクトップPC(モニタはブラウン管)とダイヤル式電話。
椅子は重厚感のあるデスクに合わせて、背もたれのついた立派なもの。
上手にはブライアン。こっちは仮に腰かけたといった雰囲気で、傍らのテーブル?にはトランシーバー。
どちらの卓上にもデキャンタとグラスがあって、これはブライアンの奥さんが淹れたコーヒーという設定。
背景は後ろにぐるっと背の高い書棚。
すべて黒く塗られたそれらのところどころに爆薬が置いてある。

図書館に立てこもるハリーと、説得しに来たブライアン、全体的には軽くお互いの身の上を開帳しつつ時間が過ぎていくのだけど、終盤でブライアンの奥さんとハリーが話すシーンがあって。
(電話を替わってもらって「もしもし?」という抑揚が東北弁ぽくてちょっとほっこりした)
奥さんの故郷の話をして、そこにあるカフェか何かの話になったんだったか、そこを訪れることを熱心に勧めるハリーが
「こういうものを繋いでいくのが、僕たちの責任なんです」
「すべてがスターバックスになる前に」
みたいなことを切々と訴えて。
つまりは小さな地元のカフェのようなものを大事にしていこう、と。
当然いまの状況と重ねて見ちゃうわけで…。
ハリーの口調も、ブライアンに対するよりもかなり丁寧で提案型というか、「残していかなきゃ(僕たちで)」と言っているように聞こえて…幻聴かもしれないけど(笑)、ちょっと涙ぐんでしまった。

結局、ハリーは一緒に図書館を出ると見せかけてブライアンを締め出し
(ここ、千葉さんのセリフと動きに目が行く作りだったと思うんだけど、ハリーは暗くて見えなかったんだっけ?)
椅子に座って投げやりに「何がテクノロジーだ」(うろ覚え)と呟いたところで終幕。
どうやって終わらせるんだろう?と思っていたらテロを目撃してしまった…どーすんだオイ…

70分、面白かった。
リーディングスタイルということでお二人とも大きめの本を開いてるけど、取り回しに”台本”感がないのと、舞台が図書館ということもあってうまくはまってたと思う。

■余談
何故これほど演劇において「デジタル」「コンピュータ」「テクノロジー」的なものは軽んじられるんだろう?
図書の分類法ってものすごくデジタル的なシステムだと思うし、検索性を上げようとする執念をコンピュータ化にも感じるんだけどな。
(カード目録がコンピュータ検索より優れている部分はもちろんある)

■劇場のCOVID-19対策について
座席は前後左右1席空けで、200席中50席を販売。
階段を降りたところで検温、その後にチケットチェック(画面に機器を当てると「thank you」って出るしくみ)と手指の消毒
客席内には扇風機が数台回ってた。
スタッフさんはフェイスガード着用(観劇中に何度か照明を反射して光ることがあって気になった)。

右が空席、舞台にVRカメラ3台→カテコはシングル(苦笑気味で距離を取ってお互いに一礼するふたりに、観客も笑)。


  • タイトル:Defiled
  • 会場:DDD青山クロスシアター
  • 会期: 
  • web:https://stagegate-vr.jp/vol1/
  • 出演者:成河、千葉哲也
  • 鑑賞日:2020/07/01
  • 書いた日: 

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