九月大歌舞伎@歌舞伎座

8月中旬~下旬にかけての感染者数の増加とともに、芸能人や歌舞伎役者の感染公表も増えた。
いや、これ今が一番やばい状況じゃない…?と思いつつも歌舞伎座に向かう。
(開いてるし、とっくにワクチン済だったので)
夏に行った劇場の中では、歌舞伎座は50%販売(一部ブロックは片側に人がいるので66%)で、係員が「会話はお控えください」と注意喚起して回っているので、最も対策されていると言っていいと思う。

■第一部
『お江戸みやげ』
芝翫さんのお辻、勘九郎さんのおゆう、花形役者・阪東栄紫が七之助さん、その恋人に莟玉さん。
それなりに楽しく見たけど、お辻が哀れに見えてしまって、ちょっと苦手かもしれない。

男性役者の二人芝居で見たときは、女2人のロードムービー風で面白かったのだけど…と調べたら、2人芝居じゃなかった。
単に役者さん2人(壤晴彦さんと浜畑健吉さん)の印象が強いだけだった。

勘九郎さんの女形はもっと見たい。所作のきれいさと愛嬌がいいと思うんだ…。

『須磨の写絵 行平名残の巻』
梅玉さんの上品な雰囲気よ…。
それはさておき、現地に女性を2人も囲っておいて置きざりとは…。

■第二部
『近江源氏先陣館 盛綱陣屋』
歌昇さんと隼人さんのコロナ感染により、数日遅れて代役で開幕→本役に復帰という流れ。
運よく1列目センターブロックを確保できていた最初の週末が休演になったため、チケットを取り直した。

・松本幸四郎『九月大歌舞伎公演初日』https://ameblo.jp/koma-shokunin/entry-12695488549.html
子供のころに小四郎を、やがて信楽太郎を、そして盛綱を演じる(今回が初役)、歌舞伎的だなあとしみじみしてしまった。
あの役もこの役もやったことがあるということ。
色んな役者の盛綱が、中に入っているということ。
受け継いでいくということ。

それを歌舞伎座でをやれる役者は一握り(前時代的で悪しき伝統ともいえる)なので、幸四郎さんはかなり恵まれた生まれなわけだけど、それはそれで、背負っていくのは、本当に大変なことだなあとも思う。
劇評に「(過去の役者)さんの××を思い出した」「(過去の役者)さんの××をよく写していた」と書かれる世界。

そして盛綱陣屋は難しくて、大抵「お着物綺麗だな!」みたいな感想に…スミマセンスミマセン。
「おじさま」に扇子ぽんぽんで答えるところが好き。
いつものお姫様でなく、キリっとした米吉さんいいなあ。
盛綱陣屋を観るのは4回目で、前回は仁左衛門さんの盛綱に、秀太郎さんの微妙だったなあ…とか。
家六さんの女形は初めて見ました。

『女伊達』
盛綱陣屋で疲労困憊したまま見た。
時蔵さんの声が好きなので、そこはちょっと残念。

■第三部
『東海道四谷怪談』
お歯黒を塗り(鏡を、つまり変わり果てた自分の顔も見ている)、髪を梳いてるお岩を注視していると、ふっ、ふっと客席の照明が消えていくのが怖かった(ただし歌舞伎座は真っ暗にはならない)。
そして妻が死んだばかりの寝室に、新たな妻を招き入れるのがえぐい。にざさまはかっこいい。

四谷怪談はコクーンも含めて初見。
コロナでかなり端折った演出になっているので、「悲惨な話だけど最後にはきれいな姿のお岩さんも出てきて幕が下りるのスゲーな!!」という感想が、フルver.でも通用するのかは分からない。


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